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くまもと観光キャンペーンブログサイト 季刊誌
くまもと時間(タイム)Vol.10 2009 AUTUMN1-2ページ

球磨郡球磨村 一勝地曲げ
固い檜をぐるりと曲げりゃ
ふっくら、艶めく飯の旨さよ
 秋、深し
 隣は何を食う人ぞ
と、覗き込むのは当然、隣人の弁当箱である。気になるのはおかずではなく、その素材。中には竹で編んだものを使っている小粋な御仁も見かけるが、選んだ弁当箱には人となりが現れているのではあるまいか。
 新米の季節、艶々として粒が立った旨そうな飯を食べるなら、 曲げわっぱ の弁当箱で喰らいつくに限る。木の呼吸は、おかずや飯の水分をうまく調整する上、夏には涼しく、冬は温かく保つ。何とも働きものであり、生きているのである。何でも温めれば旨いというものではない。冷めた弁当には弁当ならではの味わいがあることを、まさかお忘れではあるまいな。

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 森林の里・球磨村には、全て手作りの 曲げわっぱ がある。原木から板を切り出して材料にするだけでも数年を要する代物だ。1年寝かされては加工され、また1年寝かされるという具合。そうやって仕込まれた板は同じ幹から生まれた板でさえ、一つとして同じ“目”はない。その質感や表情までも違う、それが曲げものの最大の魅力だと、この道28年の淋正司さんは語る。

(左)淋さんの師は奥さんの祖父。その作品に一目ぼれし、こんなに身近に素晴らしい工芸品があったのかと、職人を志した。「もの作りは自分探し」という忙しい毎日だ

 100度の熱湯に漬け込み、さらに20分ほど煮沸すると、板はしなやかになり、いよいよ曲げの作業。降参したかのように緩やかに孤を描き、職人の思いのままに変化していく。一寸の狂いもなく、ぴたりと収まる蓋と弁当箱は、もはや芸術、いや神業に違いない。
 一勝地曲げの弁当箱に詰めた飯は旨い。艶がありほのかに甘く、器が生きている証しの美食を味わえる。食通を気取ってああだこうだ言う前に、この旨さを思い知るべし。

(右)曲げはヒノキ、天地はスギで製作。形を整えたら1週間乾燥させる。どこまでも気の長い作業だ。全て予約制。工房を訪れ、好みの器をオーダーしよう
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【取材協力】
淋(そそぎ)工房 球磨郡球磨村一勝地丁600 TEL 0966-32-1192

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